ぼくは笑った
その瞬間は
悲しくもなく切なくもなく
ただただ可笑しくて笑ってしまった
きっと大丈夫だとなんとなく思った
アップルパイが食べたい
べつに好きではないんやけど
なぜか不思議と
アップルパイが食べたい
少年のようにはにかんで
やせ細った腕でギターを弾いた
ベットに寝そべり
独特のフレーズをするりと弾いた
ぼくは笑った
その瞬間は
いつもみたいに
ただただ可笑しくて笑ってしまった
きっと大丈夫だとなんとなく思った
ありとあらゆるたしなみと
かなしみを知りつくし
未開の地を腕一つで切り開いてきた
海賊のような人
あの日も少年のようなあの目は
怖いくらい輝いていた
アップルパイがたべたい
べつに好きではないんやけど
なぜか不思議と
アップルパイが食べたい
アップルパイがたべたい
べつに好きではないんやけど
なぜか不思議と
アップルパイが食べたい
40日間点滴だけを食べて
やせ細った身体にエレキギターを抱いて
ベッドの上でおどけて
どんな顔して会えばいいかわからなかったぼくを
粋なフレーズでけとばした
ぼくは笑った
あの瞬間は
さみしさを越えて
ただただ可笑しくて笑ってしまった
きっと大丈夫だと思いたかったぼくに
きっと大丈夫なんじゃないかと思わせて
かっこいいまま旅立った
かっこいいまま旅立った
ありとあらゆるうれしさと
さみしさを知りつくし
未開の地を腕一つで切り開いてきた
海賊のような人
あの日も少年のようなあの目は
怖いくらい輝いていた
怖いくらい輝いていた
アップルパイがたべたい
べつに好きではないんやけど
なぜか不思議と
アップルパイが食べたい