2023年3月21日火曜日

2023『〜3.11〜小さな宇宙の音楽祭』

パタパタしてるうちに1週間以上経ってしまいましたが、『〜3.11〜小さな宇宙の音楽祭』に関わってくれた皆さん。ありがとうございました。今回もおかげさまでとても良い音楽祭となりました。今年も色々感じたので、記しておきます。




震災から12年、毎年SENDAI KOFFEEで歌っていて、そのグラデーションは毎年、明らかに少しづつ明るい色合いに変化しているようにも感じるのですが、変わりようのない悲しみや、現実も感じました。
今年は3.11が土曜日だったこともあり、14時46分の荒浜には例年よりも沢山の方々が集まって、静かに手を合わせていました。大切な人を失ってしまった方々や、故郷の景色を失ってしまった方々にとって、あの震災は、心に深く刻み込まれた、一生向き合って行かざるおえない事実なのだということを、今一度思い出す時間でした。
荒浜はすごく美しい場所です。瀬戸内育ちのぼくにとって、荒浜のどこまでも広がる水平線は強く心惹かれるものがあります。去年から山間に移住し、日々山に囲まれて生活していることもあり、今年の晴れ渡った静かな海は、より美しく神秘的に感じられ、胸に沁みました。
おんぶされて浜辺をゆく、タカハシさんの子どもは3歳になり、去年よりもずっしり重そうで、すくすくと元気ですごく可愛くて、自分の1歳の息子とかさねつつ明るい未来を想いました。








ほぼ手付かずだった荒浜の荒涼とした土地には、大手の不動産会社の事務所が進出しており、やっとこれから大きな開発が始まるとのことでした。とても良いことだと思うのですが、荒浜の復興を願い、数年前から個人レベルで動いていたお店が立ち退きになると聞き、少しさみしい気持ちにもなりました。古いバスを改造したその小さなお店兼アトリエ(トラノコバス)には、優しい笑顔の店主さんがいて、面白い雑貨が置いてあり、美味しいお茶を出してくれたり、お菓子をくれたり、いつも良い音楽がかかっていたりと、とても素敵な空間なのですが、店主さんが立ち退きに関して市役所にかけあっても、地域の担当者が変わってしまったようで、新しい担当の方には全く話が通じないそうです。お役人にとってはよく分からない謎のバスに見えているのかも知れません。復興には莫大な資本が必要なので、きっと遠くを見据えた大きな目線と念密な計画が必要なのだと思いますが、なんとなく、その改造バス周辺に少しづつ人が集まり、お祭りなども始まり、新しく、面白い文化が生まれていくのだろうなぁと妄想し、勝手な期待を抱いていたので、正直、被災地復興にとって何が正解なのかは分かりませんが、実際に人が集まってきていたお店を立ち退かせることはもったいなく感じました。
とまあ、そんな話しや、たわいもない雑談をしながら店主さんが、お店に来た方々に出来たてのアンダーサーギーと熱いお茶を無料で配っていて、それがとても美味しくて、嬉しくて、やはり、こういう地道なあたたかい気持ちをもって、人と人を繋ぐ動きをしている人達を、とりあえず自分なりに大切にできたらいいなと感じました。お店は違う地域に移転して続けるようなので、また来年も寄ってみたいです。

トラノコバスにてアンダーサーギーをたくさん食べるハナネ



という感じでライブ前の時間を過ごし、タカハシ一家と共に1年ぶりのSENDAI KOFFEEへと流れ付き、店主の田村さんと挨拶して、一息つき、キャンドルの準備を手伝い、リハーサルで生音の感覚を確かめて、次松君がやってきて、コンノさんのピアノ調律の音が響き、次松君がリハーサルする頃には外は薄暗くなっていて、近くのコンビニに水などを買いに行きながら、このルーティンを毎年やってるよなあと思い、そういえば、年によっては雪が降ったり、声が出なかったり、奇跡のようなライブが出来たり、すこし喧嘩したり、昔の友達が来てくれたりと、色々な経験をしたなと、このお祭りのあっという間の10年のグラデーションを感じて、なんだかよい色合いのあたたかい気持ちになりました。







今回、ライブ中もそんな感覚がずっと続いていて、タカハシさんのライブも、次松君のライブも時間旅行してるような不思議な音楽体験となりました。恒例となっている、震災直後から記していたタカハシさんの日記の朗読は、言葉そのままが直に届く感じがして、不思議と当時の街の様子や心境がこれまでの中でも特によく伝わってきました。なんでだろうと考えたのですが、日記として切り取られているその確定されてしまった過去が、12年という時を経て、未来とは対照的に、より鮮明にリアルに感じられるようになってきたのかも知れません。今を生きてゆくことによって過去の出来事の捉え方は変化してゆくものだと思うのですが、それでも変わってゆくものと、変えられないものがあるよなあと感じました。
あの日があったから、未来はこうなったよとあたたかい気持ちで言えるように生きてゆきたい。そんな思いのこもった『小さな宇宙の音楽祭』の、いつか3.11を祝祭の日にしたいという理念をもう一度大切に思いました。
毎年見る顔もありつつ、初めての顔もありつつ、おかげさまで今年も素晴らしい音楽祭となりました。ありがとうございました。
また来年もSENDAI KOFFEEで会いましょう。


P.S この日、幼稚園からの幼馴染に第一子が生まれました。おめでとう。








翌日、居酒屋くもにて打ち上げ













 

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